スタートアップとは
スタートアップ(Start-Up)とは、もともとシリコンバレーにて使われていた言葉で、「大企業が参入しない・できないような事業領域やニッチな事業領域にてイノベーションを生み出し、短期間でEXIT(IPO(新規株式公開)やM&A(企業買収))を狙う事」を意味しています。
アメリカを代表する「GAFAM(Google(Alphabet)、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)」などの現在の世界を牽引する企業も元々スタートアップとして立ち上げています。
なぜスタートアップを立ち上げるCo-funder(創業者)はEXITを目指して茨の道を歩むのでしょうか。それはスタートアップの立ち上げがCo-founderにとって、とても魅力的な可能性があるからに他なりません。
具体的な魅力としては、「EXIT後の創業者利益」「社会的地位・名声の享受」「新たな世界の創造」など多岐に渡ります。その中でも誰しもが期待をするのは「EXIT後の創業者利益」です。上で述べた通り、EXITには様々なスキームはありますが、大きく分けてIPO(新規株式公開)・M&A(企業買収)に分かれます。
<IPOのメリット・デメリット>
- メリット
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- 新規株式公開による多額の資金調達が可能になる
- 多額の資金調達により新規事業やマーケットシェア獲得へコストが掛けられる
- 社会的信用力
- 知名度が向上する
- より良い人材の採用や取引先との契約締結ができる可能性がある
- 株式売却により大きな創業者利益を得られる
- デメリット
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- 内部統制等の整備やIPO準備に時間、コストが掛かる
- IPO後の株式は譲渡制限株式でないため、自由に売買される(大企業に敵対的買収等される可能性がある)
- 大株主のIPO後の売却を制限するロックアップが発生し、IPO後すぐには株式売却ができない
<M&Aのメリット・デメリット>
- メリット
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- 譲受企業と譲渡企業の成約のためフレキシブルにM&A契約を締結できる
- IPOに比較して事前準備が少ない
- デメリット
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- 譲受企業との相対取引のため、知識がないと不利な契約になるケースがある。
- IPOと比較して創業者利益が少ないケースが多い。
- IPOと比較して事業スケールを図れないケースが多い。
以上、メリット・デメリットの一例となります。(個別事由も含めて別のメリット・デメリットはあります)EXITの仕方によりメリット・デメリットがある事は紛れもない事実ではありますが、同時にEXITによりCo-funder(創業者)が金銭的な利益を享受できるのもまた紛れもない事実です。(EXITにより生涯安泰の生活費を稼げる創業者も多いです)以上の「EXIT後の創業者利益」を目指して、スタートアップ企業を創造するのはとても魅力的であると同時に、日本・全世界にイノベーションを起こせるチャンスでもある事が、スタートアップ企業を運営していくことの魅力であると言えるでしょう。
スタートアップの企業フェーズ
上記のスタートアップ企業を運営していくにあたり、企業フェーズについては必ず知っておくべき点です。世間的には様々な定義がありますが、GrowthPartners税理士法人では以下の定義で企業フェーズを区分させて頂いてます。
これらのフェーズ区分にて、スタートアップにとって一番難しいフェーズがアーリーフェーズです。別名「死の谷」と呼ばれるとおり、プロダクト構築や事業開始のフェーズでは、マーケットの反応が見えない部分があり、市場調査も含めて、広告費や業務委託費など多くのコストを掛けるケースが多いです。 このフェーズではコスト>粗利益(売上△売上原価)のケースが多いので、どんどん赤字が積み重なっていきます。
この状態では企業の存続ができないため、資金調達にて賄っていきます。
ベンチャーキャピタル(=VC)やエンジェル投資家(=個人投資家)は、このフェーズでは「現在では儲けは見込めない。ただこのコスト投資を行った先にマーケットシェアを獲得できる・大きな利益を出せる見込がある」と判断することにより、エクイティ投資を行っていきます。 これらのエクイティ投資だけでなく、デットや補助金・助成金での資金調達を活用して、企業価値(=バリエーション)を高めていくことがスタートアップの使命と言えます。
企業価値(バリエーション)の仕組み
上記で「スタートアップの価値=バリュエーション」という話をしましたが、バリュエーションとはどのようなものでしょうか。
バリュエーションとは、「いま時点の将来に対する会社の価値」で、将来に渡ってどのくらいの純資産価値を出せるか?という視点を前提に定められる企業価値となります。いわば「買手と売手の双方の合意する企業価値」という事にもなります。
つまりIPO時では買手は「一般投資家等」、M&A時では買手は「譲受企業」となります。あくまで株式市場や譲受企業が納得する価値であればそれはバリュエーションと言えるでしょう。言い換えれば、現在の企業状況を鑑みた上で、高くも低くも評価できるという事です。
このバリュエーションの見せ方こそ社長やその企業の力量とも言えます。具体的なバリュエーションの算定方法としては、一般的に3パターンあり、「コストアプローチ」「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」となります。これらは算定使途によって使い分けられます。
これらのアプローチは算定状況や算定者によって変わるケースもありますので、信頼できる専門家に依頼するのが望ましいでしょう。
バリエーションを高めるための資金調達
上記のバリュエーションを高めるためには資金調達方法を詳しく理解する必要があります。
各資金調達の概要については、資金調達ページをご参照下さい。