税務調査対応とは
①任意調査と強制調査
<任意調査>
通常、実施される調査のことで、資本金1億円未満の法人や個人事業者については、税務署の調査部門が担当し、資本金1億円以上の法人は国税局調査部が担当します。
<強制調査>
国税局査察部 (通称:マルサ) が、脱税金額が大きい悪質な納税者を相手に実施する調査で、最終的には、検察庁への告発を目的としています。
②事前連絡
税務調査が行われる場合には、原則、調査を実施する2週間ほど前に、納税者と顧問税理士に対して電話で事前連絡があります。
ただし、①納税者が重加算税の対象となる脱税(仮想隠蔽)行為を行っていると想定されるケースや、②飲食業や小売業など、不特定多数の者と現金決済で商売を行っている納税者などについては、事前通知が行われずに予告なしに税務調査が行われる可能性があります。
③事前調査
税務署の調査担当者は、事前連絡をする前に①過去5年分の申告書の見直し作業や、②過去5年分の申告状況の推移の検討など、「事前 (準備) 調査」というものを行っています。具体的には、
- 「売上」「原価」「経費」などを、過去の数値と比較して、異常値はないか。
- 過去の税務調査の状況。
- 取引先との取引状況。
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「外観調査」と「内観調査」
※外観調査:飲食店の場合であれば、外からお客さんの出入りを確認したり、代表者の自宅の外観を見回り、不自然に豪華な家に住んでいないか、また、ベンツなどの高級車を所有していないかなどもチェックする。
内観調査:飲食店の場合であれば、 実際に飲食をしながら、従業員の数や会計時にレジを打っているかなど、店内の状況をチェックする。
税務調査の対象として選定されるパターン
①前回調査からの経過年数
前回調査又は設立日から3期以上経過している法人が調査対象となる可能性が高いが、申告内容において、異常計数が多い法人や有効と想われる資料情報がある法人については、2期あるいは1期が経過した時点でも調査の対象に選定されるケースがある。
②申告においての異常計数が目立つ法人
前期等に比べて、売上が増加しているにもかかわらず、営業利益や申告所得が減少している法人や、例年に比べて多額の経費計上など、異常計数が目立つ法人については、税務調査の対象に選定されやすい。
③有効な資料情報がある法人
税務署においては、様々な資料情報の蓄積が行われている。そうした情報の中に、脱税行為が極めて高いと想定される有効な資料情報を有する法人については、いの一番に税務調査の対象となりやすい。
④前回調査で脱税行為(重加算税対象)を行っていた法人
前回調査で脱税行為を行っていた法人は、また同じ誤ちを繰り返す可能性があるとともに、是正状況についても確認する必要があるので必ず数年後には税務調査があると想われる。
⑤長期未接触法人
申告において異常計数もなく、また、問題のある資料情報もない法人については、通常は税務調査の対象 から外れますが、前回調査から5期以上経過しており、ある程度の売上金額や申告所得がある法人については、定期検診という意味合いで税務調査の対象となるケースが多い。
税務署からの連絡の流れ
①税理士顧問なし
納税者の本店所在地に税務署員が事前連絡なしに訪れます。その場で調査についての通知をし調査が開始されます。
②税理士顧問あり
脱税(仮想隠蔽)行為を行っていると想定されるケースなどを除き、税務調査の日程について税理士へ連絡をし、事前に日程・場所を決めた上で調査を開始します。
税務調査の流れ
①初日午前中
会社概要・取引の流れなど、会社の根本についての聞き取り
②初日午後
総勘定元帳と原票の確認、確認事項・質問事項の洗い出し
③2日目(1日で終わる事もあります)
初日午後の確認事項・質問事項の回答、引き続き総勘定元帳と原票の確認をし2日目で発覚した追加の確認事項・質問事項の洗い出し
調査員のご紹介
- 木本 忠
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1953年北海道生まれ。高校卒業後に税務署へ入署し、47年間税務署一筋で勤務する。税務署時代には、法人税や所得税等の数々の部門に所属し、過去には税務署長も経験している。また約500件以上の税務調査を経験し、税務署内部の情報や交渉術も網羅している。2018年10月にGrowthPartners税理士法人に参画し「クライアントの味方としての税理士」として税務調査対応や税務署交渉をメインに活躍している。
税務署側の情報を持ち、税務調査で気を付けるべき点を事前に知る事ができる事で税務調査が入る前の決算を組む段階においてもリスクを減らす事ができます。事前対策をする事で税務調査自体への不安を減らし不測の出費も無くすことが出来、本業に専念する事ができます。